店舗3
建設地 北海道釧路市
延べ面積 89.42m2
設計 2022.07〜2023.09
施工 2023.10~2024.03
主要仕上材
〔外部〕
外壁 カラ松板t15防腐処理 突付ビス止め
屋根 ガルバリウム鋼板
軒天 野地板現し防腐塗料塗布
建具 樹脂サッシ・木製断熱ドア(共に三層Low-Eガラス)
〔内部〕
内壁 EP塗装
床 針葉樹合板ノロ引き / ラワン合板光ワックス仕上げ / 長尺シート / 300角タイル
天井 EP塗装
建具 既製木質ドア
始まりは一本の電話からであった。
数年前に手渡していた名刺から始まったご縁である。
タイトな予算とそこから導かれた建坪・素材感を大切にしたものつくりという要望から不安が募った。
ただ購入した土地を訪れた際、そうした不安は吹き飛んでしまった。
通常通らないであろう細い道を抜けた先に広がる草原。
住宅街の中でありながらそうした喧噪を忘れてしまいそうな不思議な場所。
建物だけで完結するのではなく訪れる方々にも同様な体験をしてほしい。
そこから設計がスタートした。
形状や素材感を検討するうえで新築ではあるがそこに以前から存在していたような建築を目指した。
施主の要望を丁寧に聞き取りながら自身の判断基準として定めた。
外観は金属や窯業系サイディングではなく木板貼とし様々探した結果、道産カラ松板にたどり着き採用した。
内部はパテ・塗装について施主了解を得て設計者施工とした。
コスト調整の面もあるが設計者の当事者意識によるものである。
一階内部床には針葉樹合板ノロ引きを採用し塗装とはまた違った表現をすることができた。
建設コストの高騰や物価上昇である中でもいまだに住宅において広さ・大きさに価値が求められているが、
相反するように建物の素材や自身の住まい方に価値を求め飽くなき探求の末たどり着いた住まいが完成した。
コスト管理の一環で多数の自主施工が生じてしまったが、自らの力で完成することができた喜びはひとしおであり、
互いの絆が深まり設計論の一部を再認識することができた案件である。
一階は喫茶店・二階は住居。
他の家庭では成り立つことのできない構成となっているが
その分、家族の距離はぐっと近くなり、他にはない住まいが誕生した。